天びんで計量していると、次のような状況が発生することがあります。
天秤の表示値がゆっくりと変化し続け、一向に安定しない…そんな状況ありますね。イライラしまね。
他にも、スパチュラですくった途端に粉体が飛び散る、薬包紙に粉体が引っ付いてしまう、などなど。静電気にまつわる秤量トラブルは多くあります。
ただ、世界中で同様のことに困っている人がいるので、対策も様々に編み出されています。
そのような対策を「今すぐできること」「少しの準備期間で可能なこと」「根本的な解決」に分けて紹介したいと思います。
1.今すぐできる対策
a.薬包紙の代わりにアルミホイル
天秤の秤量皿のうえに、不導体である薬包紙が乗っているために、粉体や薬包紙に静電気が蓄積してしまうことになります。
そこで、導電性のアルミホイルを薬包紙の代わりに用いることで、粉体→アルミホイル→秤量皿→アースという電気の通り道ができ、帯電をなくすことができます。
薬包紙でなければならない場合は、アルミホイルを敷いた上に薬包紙を載せるだけでも効果があります。
帯電した粉体がアルミホイルによって遮蔽され、天秤への影響がなくなることで、表示値のドリフトが抑制されます。
b.薬包紙をアースされた導電体へくっつける
アルミホイルの用意すら面倒で、ちょっと除電すれば済みそうな場合に。
帯電した薬包紙を、アースされた導電体(机の脚や、アングルなど)に5秒ほどくっつけます。
わずかな帯電であれば、この程度でも解消出来ることがあります。
とてもズボラな方法ですが…これでダメなら潔く他の方法を試しましょう。
2.少しの準備期間で可能な対策
湿度を上げる!
空気が乾燥することで静電気が発生しやすくなりますので、調湿することは効果的です。
どの研究室でも温度は一定に保たれていることが多い
ですが、湿度は管理されていないことが多いですね。
安定した実験結果を求めるという意味でも、湿度を一定に保つことはオススメです。
3.根本的な解決を目指した対策
除電グッズを取り揃える
メインで扱っている化合物が帯電しやすいのであれば、きちんと道具を揃えることが実験の効率化になるでしょう。
以下が代表的なものです。検索すると沢山出てきますので、詳細はここでは割愛いたします。
・除電風(イオナイザー)
・帯電防止秤量カップ
・帯電防止スパチュラ
・アース付きリストバンド
・導電性手袋
・導電床&導電靴
オススメは帯電防止秤量カップですかね。一度購入してしまえば、いつもと同じように秤量すればいいので。 一手間すら増えないことが、ストレスフリーな作業に繋がると思います。
少し話が逸れますが、グラムスケールの合成も行う実験室であれば、有機溶剤への引火事故を防ぐ意味合いもあるので、導電性手袋、導電靴、導電床をセットで準備しておくことが必要です。