液体分離時の乳化を避ける方法

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分液操作において厄介なのがエマルジョンです。
予定が詰まっていて、早く実験を終えたい時に限ってエマルジョンになったりするものですね。 

エマルジョンを解消する方法について、飽和食塩水を加える、セライトを通すなどがありますが、絶対に解決できるという手法はありません。
従いまして、解決手段を数多く知っておくほうが良いと思いますので、以下をご参考にしていただければと思います。

1) 加熱する 

温度を変えると、有機層/水層の比重差が変わったり、溶解物の分配が変わったりすることで、エマルジョンが解消されることがあります。
方法は、分液ロートの中身を4つ口フラスコへ移し、撹拌しながら加熱する、それだけです。
何も加えませんので、手始めにこの方法を行い、ダメなら、飽和食塩水などの別法を試してみます。
そもそもですが、有機プロセス開発の場合、分液ロートを手で振ることはあまり行いません。個人差が出てしまい、定量的な方法ではないからです。
エマルジョンの解消方法ではないですが、分液操作のやり方について、次の項目で記します。 

2) パラメータを一定にする 

以前実験した時はすんなり分液出来たのに、今回はエマルジョンになってしまった、ということもあるかと思います。
このような事象の場合は、毎回同じ操作をすることを心がければ、次回以降エマルジョンにはならなくて済みます。
分液操作で確認すべきパラメータを列挙してみます。(撹拌は4つ口フラスコで、静置は分液ロートで行うことを前提にしています。)

・加える水溶液の組成、量
(ビーカーの目盛りなどのラフな計測でも良いので、何でも量るクセをつけておくと良いです) 

・内容液の温度、および外浴(水浴、油浴、など)の温度
(スケールが小さい時は内容液の温度≒外浴温度ですが、スケールアップにより差が開いてきます。)
・撹拌速度(もしくは撹拌の様子)、撹拌時間 

・静置時間 

・抜き取った水層の重量
(加えた水溶液の重量よりも明らかに少なければ、有機層に多量の水が含まれているということです。引き続き飽和食塩水を加えるなどの脱水処理を行うかの目安になります。) 

・抜き取った水層のHPLC分析
(基質の含量を計算し、水層に多く残っているようであれば、抽出溶媒で再度分液します。) 

・中間層の有無
(取り除いたのか、または有機層に含めたのかも記録しておきましょう。) 

全部検討することが難しい時は、「撹拌5分、静置5分」など、自分なりのルーティーンを決めておけば、実験の再現性は良くなると思います。 

エマルジョンの解決法からは少し話が逸れましたが、一度起きたトラブルを2度は起こさないために、ご参考になりましたら幸いです。