○ポアソン比とは
ポアソン比(英語:Poisson's ratio、Poisson coefficient)とは、物体に弾性限界内で応力を加えたとき、応力に直角方向に発生するひずみと応力方向に沿って発生するひずみの比のことである。ヤング率などと同じく弾性限界内では材料固有の定数と見なされる。
○ポアソン比の求め方
ポアソン比はひずみのレベルで異なるようで、地震波等における微小ひずみ(0.0001~0.01%付近)時のポアソン比であれば、PS検層より求められますが、おそらく質問は、もっと大きな変形を想定していると思います。ですので、0.1~10%程度のひずみについて話します。
ポアソン比の求め方としては、上の定義のとおり、縦方向の圧縮量に対する横方向の膨らみ量を計測すればよいことから、一軸圧縮試験時にコアの長軸および円周方向にひずみゲージを添付して行う方法や三軸圧縮試験から得られる体積変化と長軸のひずみから求める方法などがあります。
ただし測定は困難であるため、通常は試験で求めるのではなく、文献等から引用した一般値を用いることが多いようです。
一方、LLTではポアソン比ν=0.3としていますが、その根拠は以下のようです。
注)ν(ポアソン比)について応(用地質LLTオペレーションマニュアルP46より)
ポアソン比は、通常の軟弱地盤においては0.3~0.5程度と考えられるが、一般には0.3と仮定する。
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LLT試験結果からE値を求めるには、半径方向の而に関して、ほぼ平面歪の条件が満たされているとしている。
この時、留意すべき点は、ポアソン比の仮定に伴うEの決定誤差で、γ=0.3として求めたE値に対し、実際のν(ポアソン比)が0.3~0.5と変化する時、Eの誤差は10%程度のものとなる。
したがって、この方法から算出したEの信頼性は、有効数字で一桁、よくてもせいぜい二桁とみるのが正しい。
○ポアソン比が粘性土では0.5、砂質土では0.3程度となる理由
・砂質土(排水材料)の場合:
三軸応力状態で有効応力、ひずみε=0を仮定すると、静止土圧係数K0=σh’/σv’=ν/(1-ν)となり、K0=0.5のとき、ν=1/3=0.33となることから。
・飽和粘性土(非排水材料)の場合:
軸対象三軸圧縮では体積変化ΔV=0の場合、ポアソン比νmax=0.5となることから(非排水=等体積変形であることから、Z方向に1圧縮すると、X,Y両方に0.5ずつ膨張する)。
なお、地震時のように微小ひずみ(なおかつ短時間)の場合は砂質土でも、非排水条件での変形となるため、ポアソン比は0.5に近い値となります。
なお、静止土圧係数を求める場合に、ヤーキーの式がよく使われます。
K0 = 1 − sinϕ (φはせん断抵抗角)
砂質土で一般的な値としてφ=30°を適用すると、K0=0.5となり、ν=0.33が導かれます。
一方、粘性土でφ=0°を式に代入するとK0=1.0となり、K0=σh’/σv’=ν/(1-ν)の関係からν=0.5という結果が導かれます。