(1) 沈下測定
調査・設計時の予測値よりも沈下量が減少した場合、あるいは圧密沈下時間が予測値よりも遅い場合には施工工程に大きく影響し工期の遅延につながる。
したがって、沈下管理においてはこのような現象を一刻も早く察知し、原因が追及できる観測機器類の設置と、それに対処できる体制を構築しておかなければならない。
当該施工区間では、無処理地盤に地表面型沈下計を設置し、盛土施工開始から沈下動態観測 を継続して行い、地表面の沈下挙動を把握するとともにプレロード荷重除去を検討する基礎資料とする。
(2)周辺地盤変位測定
一般には、盛土のり尻の水平移動量は地表面変位杭を打設し変位の影響がない離れた点(不動杭)からスチールテープなどにより測定する(図6.3.2参照)。
重要構造物等の近接盛土や厳密な安定管理が必要な盛土において、用地の都合により地表面変位杭の設置ができない場合は、のり尻に地中変位計(孔内傾斜計)を設置し、不動点(支持層)からの変位量の積分として地中変位および地表面変位を測定する方法が採用される(図6.3.3参照)。
圧密沈下に伴う地盤変位測定は水準測量によるものとし、変位が生じるのに時間がかかることから、盛土施工完了後も継続して長期的な観測を行うことが望まれる。