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クロマトグラフィーとは固定された物質と移動する物質の物理的又は化学的挙動の差を利用して移動する物質を分離する方法です。これは分離、精製、分析手段としてよく利用されます。今回はその1つである薄層クロマトグラフィー(Thin Layer Chromatography, TLC)について紹介します。
TLC
板(plate)の表面に吸着剤としてシリカゲル、アルミナ等が薄く塗られています。ここに試料(sample)を少しだけ塗り、展開溶媒(developing solvent)に浸けると毛細管現象により展開溶媒は上に上っていきます。これに伴い、塗った試料も上がります。その後、上った試料を何らかの方法で見ますとスポットが現れます。スポットの検出方法としてはブラックライトを当てる方法やヨウ素に晒す方法等があります。
Rf値
試料を塗った点から展開溶媒が上がった最も高い部分までの距離をL、試料を塗った点から現れたスポットまでの距離をlとすると、Rf値は次のように算出されます。
Rf = l/L
例えば、次の図の(a)のようにある生成物と目的物標品のTLC測定を行い比較する時はこのRf値を見ます。このRf値が異なれば、生成物は目的物でないということが言えます。
また、試料が反応混合物のような混合物の場合、図の(b)のように2つ以上のスポットが現れることがあります。
スポットの高さ
スポットの高さは吸着剤と試料の相互作用の強さが影響します。相互作用が強ければ、スポットは低い位置にでます。イメージとしては、展開溶媒により試料が上に上る時、吸着剤に引き摺りながら上っていくという感じです。
例えば吸着剤がシリカゲルの場合、シリカゲルの末端はシラノール基(Si-OH)で極性が非常に高くなっています。なので試料がヒドロキシ基やカルボニル基等を持っていると相互作用は強くなります。
このTLCは反応中に本当に反応が進行しているかどうかを確認する時も使われます。反応進行中に反応混合物に対してある間隔おきに使うと、時間が経過すればするほど原料のスポットは消えていきます。逆に生成物のスポットは濃くなっていきます。これで反応が進行していると判断できます。
TLCは非常にお手軽で便利ですね。