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交差点でためらいました。南への道はニースと地中海沿岸に戻る道で、私たちのレンタルアパートがあり、全ての荷物がそこにありました。しかし、北への道は魅力的で険しいオートプロヴァンスの丘とその先のフランスアルプスに続いていました。
後悔の念を感じながらウインカーを操作し、私たちは荷物がある南へ向かいました。
「いつの日か」と、愛する配偶者であり共に歩む人であるテレサに言いました。「ここに戻って、アルプスを通る北の道を行こう。」
それは2021年11月、ヨーロッパでの放浪の冒険が始まったばかりの時でした。それから約2年半後の2024年5月、私はまさにその同じ交差点に戻り、今度は反対方向に曲がりました。
その日は再びニースで始まりました。海沿いのプロムナードを走り、次にループ川の谷を上りました。そこは白い滝と黄灰色の石灰岩の崖が連なる劇的な峡谷に狭まりました。その道はこれまで運転した中で最も急で怖い道の一つで、それ自体がもう一度やる理由でした。
こういう道を運転するのが好きです。テレサが悲鳴を上げるからです。特に今回はオープンカーのミニでトップを下ろして運転していました。
「なんでこんなに怖いのにやりたがるんだろう？」彼女は悲鳴を上げながら、もう一つの絶壁の峡谷を曲がる時に叫びました。
テレサはかなりの深度認識の問題があり、そういうカーブでは車がどこにあるのか、本当にわからないのです。それが彼女を時に詩的にし、彼女の雄弁さが私たちの旅の最高の思い出を保つのに役立ちます。
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「キャー！空に向かって運転してるみたい！」
その道は乾燥した灌木地帯を通り、岩にしがみつくような小さな村々が点在していました。ほとんどの土地は耕作されていません。ここで彼らは何をしているのだろう、この村々はなぜ存在するのだろうと疑問に思いました。やがて広いアルプスの谷に到着し、両側には密集した松林があり、中央には牛や馬の牧場がありました。鹿やムース、アメリカンバイソンまで飼育している牧場を通り過ぎました。
「狩人」という古びたロードサイドレストランで食事をしました。内部はアンティークのスポーツ用品や農具でいっぱいでした。スキーや鎌、スノーシューやノコギリなど。
オーナー夫婦は70代で、パトリスが料理を担当し、パスカルがバーとレジを担当していました。ランチ時に私たちが唯一の客でした。P&Pは40年間一緒にレストラン経営をしてきたと言います。5年前にニースの店を売って、このリモートなカフェを引き継いだそうです。おそらく静かな生活を求めてのことでしょう。料理は家庭料理で、心温まる山の料理でした。私のハムのフライとクリーミーなマッシュルームソースは、この旅で食べた中で最高の食事の一つでした。
オートプロヴァンスを通る曲がりくねった道はほとんど人がいませんでした。人も少なく、町も少ない。この山々はスキーには南すぎて小さすぎますが、農業には急すぎて岩が多すぎます。湖の近くでは釣りやボートの看板が見えました。しかし、大部分は野生のままでした。実際、丘の斜面にはブドウ畑すらありませんでした。
温泉の町ディーニュ・レ・バンを過ぎたところで、私たちのルートは有名なナポレオン街道と合流しました。これは、1815年に追放された皇帝ナポレオンがエルバ島から脱出した後、1,200人の忠実な兵士と共に通った道です。彼の船がサン・トロペに到着した後、ナポレオンはこの小さな軍隊を集め、プロヴァンス、アルプス、ブルゴーニュを経てパリへと北上し、簡単にフランスの指揮権を取り戻しました。このルートには元皇帝の記念碑やホテル、レストランが多数あります。
私たちはシストロンの町で一夜を過ごしました。ここにはフランスで最も劇的で興味深い地質構造があります。地層が水平ではなく垂直に走っているのです。これはアフリカがヨーロッパに衝突し、海底の石灰化した岩盤が上に押し上げられた時に起こりました。不思議なことに、これにより山の一方の側の岩はもう一方の側の岩よりも何百万年も古いのです。どちらがどちらなのかは分かりませんでしたが。
シストロン城を見学していると、1815年にここで劇的な対決があったことを知りました。パリへの行進中、ナポレオンの兵士たちは城の下の橋を渡らなければなりませんでした。これはパリへの道を取るために荒れ狂うデュランス川を渡る唯一の場所でした。
シストロンの市長は王に忠実で、ナポレオンの兵士たちが橋を渡るときに砲撃するつもりでした。しかし、シストロンの上級軍事将校はナポレオンの支持者でした。彼は塔から弾薬をすべて取り除くよう命じ、ナポレオンが妨害されずに通過できるようにしました。ナポレオンが川の向こう側に無事に到着したとき、彼は「今、私はパリにいる」と叫んだと言われています。
